[雑記]音楽と人との出会いについて

好きな音楽を聴いているとき、ふいに「どうしてこの曲のことを知ったんだっけ?」と考えることがあります。普段からお気に入りで、毎日のように聴き返しているいくつもの曲達。しかし当然、生まれた時から知っていたわけはありません。その曲と出会った「キッカケ」のようなものがあるはず。それは何だっけ? そう思い返してみると、様々な人達との思い出が蘇ってきます。

たとえば、QUEENのこと。
今も忘れない中学一年だった頃のある日、兄貴の友人がウチに遊びに来たときに「世界に捧ぐ」と「Jazz」を持ってきたんです。

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世界に捧ぐ」のアルバムジャケットを見て、当時の僕が思った率直な感想は「怖い」でした。よく分からん無機的なロボットの手中に死体が転がっている。それにこのイラストのタッチ……。自分がもっと小さかった頃、遊園地で見たお化け屋敷の看板を思い出したことを覚えてます。
またジャケットを開いた最初のページも強烈でした。例のロボが巨大な穴から、逃げ惑う人間を食わんとするばかりに手を伸ばしているのです。なんの地獄絵図ですかこれは。

ジャズ

ジャズ

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一方、「ジャズ」の方は大変シンプルなジャケットデザインです。真っ黒な背景に、グルグルに、ピンク色の文字で「JAZZ」と書かれているだけ。その文字から僕が連想した音は当然、音楽のジャンルとしてあるジャズ・ミュージックでした。
この頃から僕も、よくジャズを耳にしていました。……いや、「勝手に耳に入ってきた」という方が正しいです。父親がジャズ好きなので、車のステレオなんかで、グレンミラーやカウントベイシー、ベニーグッドマンなどの演奏をよく流して聴いていたんです。それを耳にした当時の僕の感想は「いつ歌い出すんだろ……って終わりかいっ!」だったと思いますw 当時の僕の認識では、CDで聴くような音楽には皆、ボーカルがあるものだと思っていたんしょうw

兄貴の机の上に置かれた「世界に捧ぐ」と「ジャズ」を、僕はまじまじと眺めていました。
ジャケットカードを開けて、中身も読んでみちゃったりして。

うっすい……。

なんか白い紙が入ってるし……。

なんというか……これは全体的にとても……。

……英語だ(小並感)

観察を終えた第一の感想は「謎」でした。
外国の人が歌っている音楽CDだというのは分かります。しかし英語の歌なんか聴いて一体なんになるというんでしょう。兄の友人だって英語がペラペラってワケじゃない。僕と大して年の変わらない中学生です。歌詞の意味が分からない歌なんか聴いて一体なんになるのか? それがただ、純粋に疑問でした。

そのような旨を兄の友人に伝えると、彼はこう答えました。

「これ、貸してやるよ」

と。
僕が投げかけた質問には何も答えることなく、ただCDを貸してくれました。当時はその意味をよく理解出来ませんでしたが、洋楽をよく聴くようになった今は、その時の彼の気持ちが何となく理解出来るような気がします。

その日の夜。僕は机の上にある「世界に捧ぐ」と「ジャズ」を相手に睨めっこしてました。
好奇心旺盛な小学生時分です。当然聴く気はマンマンです。マンマンなのですが……問題は、どっちから先に聴くか、です。

 

 

世界に捧ぐ(リミテッド・エディション)
地獄絵図か

 

 

ジャズ

……歌の無なさそうな奴か

 

悩んだ末、僕は後者を選びました。
歌がなくてもジャズなら聴いたことあるジャンルだ。夜中眠れなくなるってこともないだろう。そう思いつつ、CDをコンポの中に挿入します。

この時に僕が想像していた「CDから流れてくる音」は、ジャズが好きな人ならみんな期待するような音だったと思います。
つまり軽妙なウッドベースに、ムーディな音を奏でるジャズピアノ、それに呼応するようにハイハットが小刻みに――

♪イイイィィイイ~~~~ブラヒィィイイイイイムゥン(Sexyな吐息)

……。

♪アンラアンラアンラアンランラァ~~~ン……

はい?

♪\ハイッ!/

歌と心境被ったよ!

※こちらがJazzの一曲目。Mustaphaです。

その時、僕は一生懸命考えました。「JAZZ」と書かれたこのCDが、何故こんなにもアラビアンなのかを。
想像の斜め上を言ってました。英語わかんないとかそういうレベルじゃない。っていうかこれは英語じゃない。これはもっと、中近東的な何かだ。アラジンとか石油王とかが吹き替え無しで喋ってるやつだ。いやアラジンも石油王も吹き替え無しで聴いたことないから実際は分からないけど。でも絶対アラビアだよこれ。音がそう言ってるもん。なんなんだよこのアラビアンミステリー。世界、ふしぎ発見。

混乱の最中にいる僕に構うこともなく、コンポは曲を流し続けます。
1分19秒を過ぎる頃、Mustaphaは最高潮の盛り上がりを見せます。これでもかってほど大きく、歪んだギターが入ってくるのです。それに応じて楽器全体の音が上がります。

この頃から、……徐々に、だったと思うんですが、頭に渦巻いていた数々のアラビアンミステリーが影を潜めていきました。そしてスーパーひとしくんがボッシュートされたその穴を埋めるように、鳴り止まないバスドラムが、僕の心臓に直接キックペダルを踏みこんできました。心臓の鼓動は高鳴り、やがてその高鳴りが体全体へと広がっていきました。軽快なリズムに自然と体が縦に揺れ、ベースがまるで糸で操っているかのように、右往左往に僕の体を横に揺らしました。言い過ぎだと思いますし、書くことも恥ずかしいことだとは思います。でも、その時だけは間違いなく、僕は「音楽」とひとつになっていました。あの夜の僕は間違いなく、Mustaphaの登場人物の一人でした。

その時僕は、生まれてはじめて音楽に心を奪われたんだと思います。
小学生の頃の記憶なんて殆ど覚えていないけれど、この時の興奮だけはオッサンになった今でも思い返すことが出来ます。その出来事は僕にとって、たとえば大学に合格した時の喜びや、失恋した時の悲しみにも負けない、鮮烈な「事件」だったんだと思います。

僕にこんなにも素敵な事件を与えてくれた兄の友人とは、兄が高校に進学し交流が無くなって以降、もう何十年も会っていません。でも彼との思い出はQUEENを通して、いつでも僕の頭の中に蘇らせることが出来ます。

兄の友人に限ったことじゃありません。
たとえばオフコースを聴くと、高校時代の友達を思い出します。放課後音楽室で僕がギターを弾いて、彼が小田さんの「woh woh」を歌ったのは良い思い出です。
ブライアンセッツァーを聴くと、大学時代の友達のことを。彼から借りた「ダーティー・ブギ」にハマリすぎて、ループしてたら朝が明けてしまったあの頃。1曲目からして反則ですあのアルバムは。
ソニックユース狂の大学時代の先輩。歓送会のときにGoo(お手製!)のポスターを頂いたこと。自分が今も聴いている90年代のロックの大半は、この方から教わった気がします。
ドリカムが好きだった女友達。ドリカム自体はそんなに周回して聞かないけど、彼女が推していた「月光」は今でも好きでよく聴きます。この曲を聴くと彼女を思い出します。
米津玄師が好きな僕の甥っ子。米津さんの曲は普段聴いてるサイトに無いからスルーするところでした。現在進行形で刺激をもらうことが多いです。
ザ・フーを教えてくれた同人ゲーム制作者の同志様。趣味が近い上によく音楽を聴いていらっしゃる方だから、お喋りをすると本当に楽しいです。レコード屋さんでオススメを教え合ったことは楽しい思い出として今でも記憶に残っています。
MYTHのスクリプタ・sasakiさん。倉橋ヨエコやCaptain Beefhertなどを教わりました。今でも聴いてます(倉橋ヨエコは昨年、作業配信でも流しました)
I’veやkeyの神曲を教えてくれた高校時代のオタク友達。当時はKOTOKOさんのLamentや同じ空の下で、Liaの鳥の歌、クロスチャンネルのOP・Crossingなどは死ぬほどループしました。やっぱり今でも時々聴きます。メイドさんロックンロールなどの、当時の電波ソングもw 古臭く感じる方もいるかもですが、僕にとっては「なつかしい」とは思えど、一生色褪せることはないであろう曲達です。

それだけに限らず、今まで出会った沢山の方々から、沢山の音楽を教わりました。
それらひとつひとつの音楽が、僕に「その当時やその人との思い出」を蘇らせてくれるんです。そして当時と今の僕を比較させてくれます。あの頃は楽しかった。あの時、ああしていれば良かった。あの時の僕はこうだった。今はどうだ。あの時から多少は進歩しているか? あの人は今どうしてるだろう。いずれにせよ、過去の自分にゃ負けてらんねー。……そんな風に、音楽が数々の自問自答を僕に与えてくれるんです。

僕は出会った人が「好きだ」と話してくれた音楽を、今日も明日も聴き続けていくんだと思います。何故なら僕にとって音楽は、出会った人達のことを思い起こさせてくれるものでもあるから。
そして聴き続けるうちに、これからも「好きな音楽」が増え続けていくんだと思います。

この拙文を読んで下さる方は、きっと同人ゲームを愛する方が多いのではないかと思います。作り手の自分と皆さんを繋ぐのは、人が行き来していて長話なんかロクに出来ないイベント会場だけかもしれませんけどw
それでも、皆さんの「好きな音楽」をいつか聞かせて頂ける時がくればいいなーなんて……このオッサンはチョッピリ期待を持ってイベントに挑んでますw
もちろん、音楽をあまり聴かない人もいると思います。音楽じゃなくても、たとえば好きなゲームとか、漫画、映画の話とかでも!
いつか、ゆっくりとお話をする機会があればいいなって思います。

同人ゲームで繋がったこのご縁を、いつか深め合う機会があればいいですね。
そんな機会と巡り合いたい意味でも…引き続き制作をがんばりたいと思いますorz

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