ダブワンな人々。#1「引っ越し」

ある日の午後
「あまのや」の居間を通りかかったポッケは、座卓に置かれた「ご挨拶」と書かれた箱に気付きました。

登場人物

ポッケ
異世界からやってきた食いしん坊な女の子。
小さな村で特別な教育を受けていないこともあってか
見た目よりもずっと言動が幼い。

天野円奈(あまのまるな)
ポッケ達の面倒を見ている民宿「あまのや」の女将。

落第の危機を迎えている、お気楽気分な大学生。
トト
ポッケのお義兄さん。今回は3行くらいしか出番がない。
エバンナ
トトの幼馴染。ポッケとはお友達。
比較的マトモな異世界人。

 

 

 

 

 

#1
「引っ越し」
さく・ナカオボウシ

 

 

 

 

 

ポッケ
くんくん
  ↑箱に鼻をつけてる

 

ポッケ
いい匂いだ

 

円奈
ああ、それ
向かいに引っ越してきた人がくれたんよ

気ぃ遣わんでええのにねぇ

 

ポッケ
ヒッコシって、何だ?

 

円奈
…住む場所を変えること、ゆうんかなー
向かいに新しく住む人が「これから宜しく」ゆうて、それ持って挨拶しに来てくれたんよ
異世界の人は引っ越さんの?

 

ポッケ
そうかー
誰かが引っ越してくると、物をもらえるかー

ラッキーだったなー円奈よー 

 

円奈
ほうやねぇ
ラッキーやったわぁ
大体合ってるので補足するつもりはない→

 

円奈
中身はどら焼き6個入りパックでした!
一杯あるけん、みんなで食べよわい!?
トトくんら呼んで来て!
大至急っ!

 

 

 

 

<ザッザッザ・・・

 

 

 

 

どら焼きの箱を手に抱えたポッケは、意気揚々とトト・エバンナ・”俺”くんの部屋を周り、全員を居間へと連れてきました。

 

 

 

ポッケ
……

 

ポッケ
なんだこれ!
うますぎるぞ!
シャレにならん!

 

円奈
そりゃほうよ~
有名な「うなぎや」のどら焼きやもん~

皮がホットケーキみたいや~シアワセ……

 

トト
う~ん……
とっても甘くて、おいしいなぁ

 

エバンナ
……本当
この世界って美味しい物だらけだわ

円奈の料理も素晴らしいし

 

エバンナちゃんって、見た目に似合わず和風な食い物とか好きっすよね~
日本人なんじゃねーすか、実は

 

エバンナ
別に
美味しいものに美味しいと言ってるだけよ

珍しいものを食べるの、嫌いじゃないし

 

 

ありがとー!
どら焼き開発した人ありがとーっ!
色々大変だったでしょうに!

 

 

お隣さんもありがとー!

 

 

ポッケ
円奈! 引っ越しはいいものだな!
特にどら焼きをもらえるから、いい!

 

円奈
ええっ!
どら焼きもらえるけん、ええねっ!

 

トト
……

 

 

トトがふと声をあげた方を、全員が見やります。
そこには、どら焼きが入った箱に1つどら焼きが残っているのが見えました。

 

 

トト
どら焼き……
一個残っちゃったね

 

 

 

 

 

 

円奈
ん? ……ああ
それはルイルイの分よ

 

 

円奈
夕方までには帰るって言うとったけん

 

 

円奈
……残しておかんと
ルイルイだけ可哀想よ……
……ほやろ?

 

 

 

あれ?
でも竹井さんって、甘いもの嫌いでしたよねー?

特にアンコ

 

 

(よ……余計なことを……

 

 

 

円奈
ほうやったかな
初耳やわ…新情報…

 

無理に食ってもらうこともないでしょう
だから、ここは大人としてね?円奈さん?

 

円奈
ほうやね
じゃあ―― 
トトくん?

 

トト
あ、うん
じゃあ―― 
エバンナ?

 

エバンナ
……どうぞ
あたしは十分いただきました

 

 

 

ポッケ
じゃあ

 

 

 

 

 

 

――ぱくっ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うんっ
やっぱおいし~

さすが老舗有名店
伊達じゃないなー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ポッケ
……

 

 

 

 

ばかもーーーーんっ!
お前今なにをしたか分かってるのか!?

 

 

 

 

いたっ、ごめん冗談!
一口食べただけっすから!
残りは全部あげますよっ!

 

ポッケ
あーあ!
でっかい歯のあとが付いてる!
ちょっと湿ってる!!
気持ち悪いなー!!

↑でも食ってる

 

やーんポッケちゃんおにーさんと間接キス~
ほら、エバンナちゃんも羨ましそうにこっちを見てるよー?

 

エバンナ
羨ましいわ
あんたの思考回路が

 

ポッケ
お前は……
お前なんか……
もう……

 

 

 

 

 

 

 

 

引っ越してこい!!

 

 

 

 

 

 

 

 

-おわり-

 

 

 

 

 

 

 

 

「引っ越し」

というわけで、唐突にはじまりました「ダブワンな人々。」のコーナー。
このネーミングに既視感を覚えた方、おりましたら一緒に飲みましょう。

……そう言いたくなるほど、知っている人が限られているネタだと思います(笑)
これは処女作「MYTH」を制作中に連載していた「MYTHな人々。」というコーナーが元ネタです。こんな風に会話形式で、梓門や悧里達が下らない話をするというコーナーが大昔にあったんですよw

ダブワンな人々。」ではダブワンキャラの日常を描きながら、本編のGEARでは表現出来ない四季にまつわるエピソードや、作者の身の回りで起きたことに因んだエピソードなどを書いていこうと思っています。MYTH同様にダブワンも長期戦となりますので、本編が出るまでの間、サイトに遊びに来て下さった読み手の方に楽しんでいただけたら嬉しく思います。

初回のテーマは「引っ越し」です。
僕にとって今、最も身近な話題をテーマとして選びました。

今年の3月をもって、僕は今住んでいるところから引っ越します。僕は父親が体を悪くして以降、ずっと実家の仕事の手伝いをしていたのですが、その親が今年で無事定年を迎えたんです。そのため親は親、僕は僕で別々に暮らすこととなりました。何やかや移動はしたのですが、基本的にその地域にずっと住んでましたので、故郷を離れるような感覚で。やっぱり寂しさがあります。

その関係で去年は必要な引き継ぎや、挨拶回りに追われておりました。なんだか2017年は「別れ」のことばかり考えていた、そんな一年だったように思います。

当初の目標ではダブワンは2017年内に完結させ、2018年からは別のことを始めるつもりでいたのですが、とある方々からお声掛けを頂いたことにより、もうしばらく活動を続けられる事となりました。その方々には言葉では表せないほど感謝しています。

自分としては「延長戦」という感覚です。試合終了のホイッスルが鳴った時、その結果に後悔しないように。勝っても負けても潔い気持ちで次のステージに進めるように。創作にまつわる自分のやりたいことを全て放出できる、そんな2018年に出来ればと思っています。

ブログ更新も、今年中ベストを尽くしたいもののひとつです。
今後共どうぞ宜しくお願い致します。

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