カオスに潜むコスモスのこと
 葦野里滞在3日目――竹井塔人の存在が明るみに出た翌日――はカオス展開です。
 カオス展開では、これまでにじわじわと構築してきた本作の『不可解さ』を加速度的に上昇させる必要があり、描写に際しては非常に気を遣ったシークエンスです。
 特に注意を払ったのは零次視点の描写。ここでは『カオスとコスモスをテキスト上に混在させる』必要がありました。ひとつの『ボタンのかけ違い』から、今まで姿を潜めていたカオスが顔を出すような形で、ワンダーランドと現実の混在を“宣言”させました。とは言え3日目全体の流れは、一言で「カオス展開」と位置付けられるものなので、「秩序立てたものはここにはない」とすればそれまでです。しかし実際には、秩序立てた展開も同じ刻の中を進行しています。正確に言えば、カオスがコスモスを『押し切った』瞬間が、零次視点には描写されています。
 作中では理解に苦しむ他無かったかと思いますが、ここはプレイ後に内容を語り合うラウンジルームです。今一度俯瞰で該当箇所を見てみて、垣間見える『コスモス』の展開を覗いてみても、何か面白い発見があるかもしれません。
 というわけで今回は、当該シーンの『コスモス』を窺える資料を用意しました。
 分かりやすいように色分けしてあります。  
ト書きA 零次・瑠衣 意志混在 本来の進行 ト書きB
○あまのや俺の部屋

鳴り止まない目覚まし


俺、目覚ましを止める














○あまのや・土間
俺、洗面所へ向かう








○あまのや・浴室/洗面所
洗面所前でうめく瑠衣


瑠衣、水を口に含み
うがいを始める












瑠衣、再びうがい



瑠衣、動かない



瑠衣、動かない















瑠衣、微笑み水を飲み込む









































瑠衣、走り去る







○あまのや・???
瑠衣、走り回る

【俺】………。

【俺】ふぅ……………っすぅ。

【俺】やぁー。
…………なーんか。
徐々に、早起きに慣れてきた気がするなぁ。
【俺】………んー……。
【俺】
口の中が、ネトネトする……。
【俺】
つうか……………クッサ……。
______。

俺は
____________、
洗面所へと向かった。
【??】
あーーーーーーーー…。
【俺】ん?
洗面所の方から。
水音に混じり、
______が聞こえて来た。
俺は少しだけ開いた、洗面所入口の戸口を覗く。
【瑠衣】
あはっ……あっ…あはっ…………あはぁああーっあっ……あはっ…。
洗面所を覗くと、竹井さんの姿があった。
【瑠衣】ごぽっ……がらがら…………。
ペッ! …ペッ!! プェ!!!
【瑠衣】あああ……あはっ……。

竹井さんは異様なほど丹念に、蛇口の水で口をゆすいでいた。
【俺】
……どうしたんすか、竹井さん。
【瑠衣】
もうイヤだー。もうゴメンだー。
…メッチャ無視される。
【瑠衣】じゅじゅじゅっ……。
【瑠衣】がらがらがらがら…………。
竹井さんは、水を口に含んだ状態で、天を仰いだ。
【瑠衣】
……………………。
そして。
【瑠衣】……………………。
【俺】あ……あの〜………?
【俺】と……とりあえず、水を吐き出した方がいいと思うんすけど……。




【瑠衣】
バ…………ガッ…………。


【瑠衣】ごきゅっ………。
【俺】き…汚ねぇ……。




【瑠衣】しらんぷり。
【俺】
は…はい?
【瑠衣】
ぐらんぷり。
【俺】
????????
【瑠衣】
ぐらん〜
【瑠衣】
            ぷりっ





【瑠衣】おぷ〜   らっ  まっ 。



【俺】
キ……キモイ冗談やめてくださいよ竹井さん……?

【俺】
あっ! 竹井さん!!



【瑠衣】あうあうあうあうああうあうあうあうあうあうああうあうぁーーー!!!!あうとさいだぁーーーうあーーー!!!!!!!!!!!!
【俺】竹井さんッ!!
【瑠衣】いぴ〜〜〜!
【瑠衣】ふーーーーーーーーーるーーーーーーーーーー!!!
【瑠衣】かーーーーーーーーーーーははははははははあはははははははははははあ!!!!!!!!
【俺】なんなんだよ……。
【瑠衣】あっはははははははは!! あはははははあは!!
【俺】………誰なんだ………コイツは…。
【瑠衣】はははははははは! は! は! は!
【俺】竹井さんじゃない…………。だって、竹井さんは、もっと……。
【瑠衣】あははは………はは……は……。
【俺】こんなんじゃ無かっただろうが!?




【俺】なんなんだ………。
【瑠衣】…………。
【瑠衣】……。
【瑠衣】ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!
【瑠衣】ヒァアアアアッ”!!!!!ギャッ! ギェアアアャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!

耳をつんざくほどの甲高い声が、「あまのや」全域に広がった……。
【俺】………。

【俺】ふぅ……………っすぅ。

【俺】やぁー。
…………なーんか。
徐々に、早起きに慣れてきた気がするなぁ。
【俺】………んー……。
【俺】
【俺】
……ま、いっか。
俺は
眠気を振り払うように頭を振ると、洗面所へと向かった。
【??】
【俺】ん?
洗面所の方から。
水音に混じり、
聞き慣れた声が聞こえて来た。
俺は少しだけ開いた、洗面所入口の戸口を覗く。
【瑠衣】

洗面所を覗くと、竹井さんの姿があった。
【瑠衣】

【瑠衣】
竹井さんは異様なほど丹念に、蛇口の水で口をゆすいでいた。
【俺】
【瑠衣】

…メッチャ無視される。
【瑠衣】じゅじゅじゅっ……。
【瑠衣】がらがらがらがら…………。

竹井さんは、水を口に含んだ状態で、天を仰いだ。
【瑠衣】
そして。

勢いよく、水を吐き出した。
【俺】
【俺】

俺はそう、軽口を吐いた。
竹井さんの反応は、大体想像が付く。
「君には負けるよ」ってなところだろう。

【瑠衣】
一字一句違わない返答が返ってきた。
(が、無頓着は予想GUY)

【瑠衣】
【俺】
俺は嘘偽りなく返した。
……都会っ子の俺が暇を潰せるスポットなど、この葦野里には存在しない(多分)

【瑠衣】
【俺】
【瑠衣】
【俺】
【瑠衣】
【瑠衣】たまには目的もなく、葦野里を散策してみるといい
…ま、その気遣いはありがたいが。
暇を持て余すというのも正直なところである。
…う〜ん。円奈さんでも連れて、駅の方にでも行ってみよっかな〜。

【瑠衣】
…確かに、竹井さんの言うとおりだ。
円奈さんには旅館の仕事があるからなぁ…。

【俺】

結局、本日の予定は決まることなく。
【俺】
俺と竹井さんは共に、朝食の待つ広間へと足を運んだ。

【??】
【??】
広間の襖を開けると、そこには壁を見つめて固まる円奈さんの姿があった。
【??】
俺は円奈さんの視線の先を追う。
……そして、納得した。
【??】
……まあ、田舎暮らしの長い円奈さんだ。
Gブリ先生の1匹や2匹、どうって事ないのだろうが。
【??】
【??】
ここは男の見せ所だろう。
…俺は颯爽とレディ2名の前に立つと、手近にある新聞紙を丸める。
【??】
【??】
手応えアリ…!
勝利の余韻に浸るべく、叩きつけた新聞紙をゆっくりとはぎ取ると……。
【??】
【??】
…じゃあ、どこに行ったんだ?
【??】
【??】
狼狽する声に振り返ると。
【??】
【??】
【??】
【??】
【??】

耳をつんざくほどの甲高い声が、「あまのや」全域に広がった……。
































































用語集No.160「暇を持て余す」より












俺、瑠衣、広間へと向かう
○あまのや・広間
これ以降の展開では、台詞の発言者を断定することは難しい(円奈が登場するため)

ゴキブリが壁に佇んでいる












俺、新聞紙でゴキブリを叩く

ゴキブリの姿はない




ゴキブリ、円奈の額に止まっている
凍り付く円奈


○あまのや・外観
  ■現実の介在が見せるもの
■ワンダーランド本来の展開が示すもの
■意志が共通するもの
 
   

2015.09.13 ナカオボウシ

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